上海知識産権法院による初の集積回路配置設計事件の第一審判決が出される(2019‐6)
上海知識産権法院は、原告の上海の検査技術関連会社(以下、「原告」とする)と被告の科学技術関連会社(以下、「被告」とする)による集積回路配置設計創作契約をめぐる紛争事件について、第一審判決を下した。第一審判決では、被告に対し、原告に3.6万元を返還するよう命じた。
2017年9月、原告は被告と契約を締結し、原告は被告に4チャンネル高周波パルス信号高速キャプチャカードに関する研究開発を委託した。被告は、本契約に定められた研究開発作業についての費用を2段階に分けて、それぞれ2017年10月31日と2018年2月28日までに、分割で計12万元(税抜き)の研究開発費用及び報酬を支払うよう求めた。
本契約が締結された後、原告は初期費用として2017年9月30日に被告に3.6万元を支払った。しかし、被告は2017年12月8日になるまで第1回成果物を納品せず、かつ納品した成果物には、干渉が大きい、増幅回路設計が合理的でない等の問題があり、その後被告は如何なる成果物をも納品することがなかった。原告は、被告が本契約に規定される義務を履行していないことは契約違反だとして、上海知識産権法院に、本契約の解除ならびに被告に対し原告がすでに支払った3.6万元の返還を命じるよう求めた。
上海知識産権法院は審理した上で、本契約の規定に基づくと、被告は本契約に規定されるスケジュールで研究開発作業を完成させなければならないものとされているが、被告は今に至るまで契約通りの納品をしておらず、被告の違約行為によって原告が本契約の目的を実現させることはできなくなってしまっているため、原告には本契約を解除する権利があるものとみなした。そして、上海知識産権法院は、契約法第96条の規定に基づき本契約の解除を認め、また被告の違約行為が本契約を解除に至らしめたという事実に鑑み、被告に対し、3.6万人民元を原告に返還するよう判決を下した。
知識産権法院が2014年12月に設立されてから、上海知識産権法院は集積回路配置設計紛争事件を計3件受理したが、今回が初めての判決となる。
(上海知識産権法院より改編)