改正「中華人民共和国著作権法」が2021年6月1日より施行される(2020-11)
11月11日、全国人民代表大会常務委員会にて、「中華人民共和国著作権法」の改正に関する決定が可決された。改正著作権法は6章67条からなり、2021年6月1日から施行される。
今回の改正のポイントとしては、主に次のような点があげられる。
1. 著作権侵害に対する懲罰を強化した点。情状が深刻な故意侵害の場合、1倍以上5倍以下の懲罰的賠償金を適用することができる。権利者の実際の損失、侵害者の違法所得、権利使用料の算定が困難な場合、人民法院は侵害行為の情状に基づき500元以上500万元以下の賠償金の判決を下すことができる。法定賠償の下限は500元とされており、法定賠償の上限を500万元に引き上げた。この規定は、「民法典」第1184条に規定された知的財産権の懲罰的損害賠償に通じるもので、「商標法」第63条、「特許法」第71条、「不正競争防止法」第17条と基本的に一致する。
2. 「作品」の定義に調整が入り、「映画作品及び映画の撮影製作に類似する方法により創作された作品」の表現が「視聴作品」と改正された点。これは著作権の保護範囲が拡大されたことを意味し、インターネット上の短い動画などの新しい類型の作品についても今度法的保護が受けられることとなった
3. 法を執行する当局の権利侵害行為に対する取締り措置及び手段が追加された点。具体的には、著作権主管当局は、著作権侵害と著作隣接権を侵害した疑いのある行為を取締る際に、関連当事者に尋問し、被疑違法行為に係る状況を調査することができることとなり、また、当事者の被疑違法行為に係る場所と物品について現場での検査を実施することができるようになった。被疑違法行為に係る契約、インボイス、帳簿及びその他関連資料を確認、複製すること、被疑違法行為に係る場所と物品につき、差押え又は押収することができることとなった。
4. 著作権と著作隣接権を保護するために、権利者は技術的措置を取ることができることが明文化された点。ここでいう技術的措置とは、権利者の許諾を得ずに、著作物、実演、録音録画製品を閲覧・観賞する行為、又は情報インターネットを通じて公衆へ著作物、実演、録音録画製品を提供する行為を防止、制限するために有効な技術、措置又は部品のことを指し、つまり、自身の作品の権利を保護するために、作品に対して一定の制限的な技術的措置を講じることができるということである。
今回の改正は、「特許法」の改正に続いて大きな知的財産権法の改正であるといえる。改正後の著作権法は、サイバースペースにおける著作権保護の整備、特に権利侵害の法定賠償額の上限の大幅な引き上げや、懲罰的損害賠償の原則を明確にするなどの関連規定を通じて、司法救済措置を整備し、権利侵害行為を効果的に抑制することで、創作者が自身の合法的権益を守るための法的保護を整備したことに意義があるものといえる。
新華社のウェブサイトより改編